つれづれ日記 —2016 2月—
NEW! 2016/02/09 <パステルデッサン>
久々のデッサン。紙にパステルで。
本画に比べると、パステル画は時間も掛からないし、気分的にもラクだ
けど、それでもやはり手こずる。簡単に描ける絵はない、という事か。
パステルだと逆に「描けちゃう」んです。
どういう事かというと、自分の意図した箇所に自分が筆(パステル)を
置いていけばイイ。
ハズす事は少ないし、外せば消すなり加筆するなりすれば良い。
要はミスが少ない。意のままに描ける→つまり偶然性が生じるスキがない。
これだとツマラナイんです。
どこか自分でコントロール出来ない、もどかしい様な事が起きないと。
その部分を指して「デッサンが狂ってる」とか「調子がとんでる」と批評
してくる方もいるんですが、カタチを正確にとって、バルールを合わせる
とか、美大受験デッサンじゃないんだから・・・。
なので、パステルで描いてから、あえて調子が狂うようにある工程を加え
ています。
具体的な事は企業秘密ですが、それをする事によって自分でコントロール
出来ない事態が発生する。それを利用したり、整えたり。
なので「パステルだと簡単に描ける!」と思って始めたこの作風も、段々
手の混んだものになってきた。
当初は「短時間で描けるから安価で提供できる!」
これは絵描きにとってもコレクターさんにとっても朗報だ、と考えていた
のだが・・・。
そうは問屋が卸さない、ようです。
つれづれ日記 —2016 1月—
NEW! 2016/01/16 <新春展2>
昨日「新春展」の搬入をしてきたのだが、出品作2点にイマイチ納得
出来なかったので、もう一枚描くことに。
途中までは描いてたのだが、1日で完成させなければ!
こういう場合、深追いは禁物。
良い「頃合い」で筆(パステルだが)を置くのが吉。
当初はマフラーは色付きの物を考えていたのだが、描き進めるうちに
「白がイイ」と。
白いマフラーに冬の日差しが照り返り、その反射光で顔が薄っすらと
輝いている・・・そんな光景にしよう!と思うに至った。
で、それは結構ウマく表現できたと思う。
「時間が無い」ことが、良い方に転がる事もあって。
もしタップリ時間があったら、そのヒラメキは起こらなかったかもし
れない。
描き始める前にじっくりエスキースをして、下描きして、トレースし、
当初の計画通りに進める作家もいる。
というかむしろそちらのタイプの方が多いと思う。
でも自分はあまり考えずに、真っ白い画面にとにかく筆を置いてみて、
後は画面と相談したり、喧嘩したりしながら描く。
なので、自分がイメージしていた画と、最終的な仕上がりが違う事が
よくあるが、それが面白いと思っている。
もっとも、そのやり方だと何枚も連続で失敗。
という事も起きちゃうのだが・・・。
2016/01/15 <新春展>
明日1月16日から始まる「新春展」の為の作品を描いた。今回は(も)デッサン。
冬、ということもあり、また「マフラー女子」好きと言う事もあり、今回もマフラー画に。
でも、前作とかなり似てしまった。
ま、正面顔が好きな事もあるのだが、人相まで前作とにてしまったのは?
ん〜、この手の顔が好きなのかな?確かにクールビューティー系は苦手ではあるが・・・。
絵画空間に於ける「顔」って、どうあるべきなのか?
そう言えばあまり考えた事がなかった。
私生活や恋愛に於いて「好みのタイプ」と「絵になるタイプ」は同一でなない。
それに一般的に「美しい」とされるタイプと、個人的に「好き」なタイプも違う。
描いてると「自然とこういう顔になっちゃった」というのは、自然で必然の様に見えて案外、
危険かもしれない。
以前、ヴァイオリニストの葉加瀬太郎が「作曲する時はヴァイオリンは使わない」で楽譜上でする
と言っていた。それは、ヴァイオリンで作曲すると自分の弾きやすいフレーズや流れに寄ってしまい、
プレーヤーとしてはその方が楽だし、酔ってしまうから。
作曲する時はヴァイオリニストの都合など考えずにあくまで「曲」として作る。
後で自分自身にその曲を演奏する事を強いる。
これは「なるほど」である。翻って絵画の場合は?
ほとんどの場合絵画は、自分自身がが作曲家(イメージ・コンセプト構築者)であり、プレーヤー(描く技術者)であり、編曲者(画面全体を統括する者)であり、プロデューサー(ステイトメント等を考える者)であり、
イベンター(個展等を実行する者)であり、ホスト(来客を接待する者)であったりもする。
もしかしたら、そこに無理があるのかもなー。
音楽の世界でもセルフプロデュースが必ずしも上手く行くとは限らないのも、自分の「良さ」も「悪さ」も案外
他人の方が分かってたりするから。
美術の世界はそこまで分業化されていないし、それを異常に嫌うから難しいとは思うけど、信頼できるギャラリストなりご意見番的存在を個人的に確保して、その意見に耳を傾ける必要があるのかもしれなない。
2016/01/05 <2015映画BEST10>
2015年 名画座で観た54本の映画から ダントツの第1位は・・・
『薄氷の殺人』ディアオ・イーナン監督(2014 中国/香港)です!!
冒頭の銃撃戦で一気に映画に引き込まれた。間の抜けた展開が逆にリアリティーを生む。
どこか北野作品を思わせる。
物語は中国北部の地方都市で1999年と2004年に起きたバラバラ殺人事件、その捜査線上に一人の女が浮かぶ。女は悲劇のヒロインなのか?それとも真犯人か?!
その謎を追う元刑事は次第に女に惹かれていき・・・と、よくある話と言えばよくある話。
主演のグイ・ルンメイが良い♡いわゆる薄幸系。
恐らく本当に寒い場所でロケをしたと思われ、吐く息がメッチャ白いし、グイはいつも鼻の頭が赤く、目も涙ぐんでいる様で、今にも鼻水垂れてきそうなグズグズ感が萌え、です。
ー以下、ネタバレー
で、見終わった直後はなんとも釈然としなかった。
元刑事は女を愛しながらも結局は警察に彼女を売る。はじめは正義感がそうさせたのか?
とも考えたが、時間を経て分かってきた。
この元刑事は女を愛したから事件解決にのめり込んだのではなく、充実感を得たいが為に執念の捜査をしたのだ!銃撃戦が原因で警察を辞め、酒に溺れ、工場でやりがいの無い仕事をしている自分が不甲斐なく、何か没頭出来る「仕事」を欲していただけだったのだ。
女はキッカケに過ぎず、だから一発ヤッたらそれで満足しちゃった。
それにしても。
ジリジリする様なジックリとした展開からの、あの唐突でクソださいダンスシーン!しかも長い!
一体この監督は何を考えてるんだ?と思ったが、要するにこの元刑事は糞ダサい男なのだ。
それを裏付けるのが事件解決後の元同僚達との宴会。あの時の下卑た笑いが、この男そのもの
なのだ。
そしてラスト。白昼の花火。
これまた唐突なラストのカットが良い。「そこで終わるか!」という感じで。
あれは女への懺悔だったのか、未練だったのか・・・。
2016/01/04 <2015映画BEST10>
2015に名画座で観た54本の映画からBEST10を発表します!
第2位:マジック・イン・ムーンライト(2014 米/英 ウディ・アレン監督)
・・・安定のウディアレン作品。
皮肉屋で現実主義者の英国人手品師コリンファースが、謎の米国人霊能力者エマストーンの「タネと仕掛」を見破るため仏の避暑地コートダジュールにやって来るが、ミイラ取りがミイラになって、やがて恋に落ち・・・。
ラストではついにウディアレンが「信仰」に目覚める?!と思いきや、さて?!
というストーリー。
20年代の上流階級の避暑地ファッションもオサレ〜!
第3位:セッション(2014 米 デイミアン・チャゼル監督)
・・・芸術における「師弟関係」の問題を描く音楽映画。
ジャズドラマーを目指す青年とその師。超スパルタ指導で精神を病んでいくが・・・。
ジャズと言う身体的感情的ヴァイブスが最も重要視されそうな分野でしかし、
「一拍」のリズムの取り方が「間違っている」と何度も何度もやし直しさせる師。
それは本当にアートなのか?いやしかし芸術こそ実は基礎技術が最も大事な世界なのか?
という永遠のテーマを扱いながら、恐らく日本映画ならそれらを超越した「無我の境地」に至り真の芸術家になる、とういう方向で落ち着かせると思うのだが、
そこはエンタメの国アメリカ。ドンデン返しの末、ハッピーエンドに着地させます!
これは流石と唸らせます。
第1位:薄氷の殺人 (2014 中国/香港 ディアオ・イーナン監督)
第2位:マジック・イン・ムーンライト(2014 米/英 ウディ・アレン監督)
第3位:セッション (2014 米 デイミアン・チャゼル監督)
第4位:おみおくりの作法 (2013 英/伊 ウベルト・パゾリーニ監督)
第5位:めぐり逢わせのお弁当 (2013 印/仏/独 リテーシュ・バトラ監督)
第6位:悪童日記 (2013 独/ハンガリー ヤーノシュ・サース監督)
第7位:ぼくを探しに (2013 仏 シルヴァン・ショメ監督)
第8位:6才のボクが、大人になるまで。(2014 米 リチャード・リンクレイター監督)
第9位:シンプル・シモン (2010 スウェーデン アンドレアス・エーマン監督)
第10位:天才スピヴェット (2013 仏/加 ジャン=ピエール・ジュネ監督)
2016/01/01 <海街diary>
元旦ですが、映画「海街diary」を観てきた。
漫画が原作らしいが、漫画の方は未読。
映画的には「平成の小津安二郎」風を狙ったのかな?
四季折々の風景描写は良かったし、広瀬すずが自転車で
天を仰ぎながら走るシーンは良かった♡
でも・・・広瀬すずは美少女過ぎて映画の中では浮いて
しまう。恋愛映画(ファンタジー)なら主演女優は美人
過ぎても一向に構わないのだが、こういうナチュラルな
描写を積み重ねるタイプの映画では不自然に映る。
で、主演の綾瀬はるか。
これが良かった。
よく考えると今まで出演作を観たことが無かった。
CMや雑誌では見ない日はないほどよく目にするし、
綺麗な女性だなぁとは思っていたが、映画になると
・・・意外と地味、つまり自然なのだ!
なのでリアリティーが出てくるし、ここぞ!という
シーンでは画面に目を釘ずけにするオーラもある。
ま、内容的には「こんなにイイ人ばっかいないでしょ」
って感じで脚本の時点でリアリティーに欠けるのだが。
でも映像的には良いですよ〜。
逗子、鎌倉辺りのロケと思われ。
うん、あの辺りは一度住んでみたくなる。